社員や知人のソロ鉄板への不満・・・。

タダの鉄板ではない。不満を解決できる、「究極」の鋳物プレートを開発する!

ニクイタソロは(実用新案(登録第3231454号)・意匠(登録第1687327号)登録済み商品です。

通販やホームセンター、100均などで売られているソロ鉄板への不満を耳にしました。

「シーズニングがうまくいってるのかわからないし、焦げ付く」
「せっかくシーズニングして気を付けて使っていたのに、黒色が剥がれた」
「焦げや油が残ったまま、家に持って帰ってきて洗うのが・・・」

私は鋳物の技術者として鋳物の良さは知っています。そして自社で20年以上前に作ったフライパンを今でも使っていますので、おいしく長持ちすることも体感しています。

「本当に市販されている鉄板は、焼肉やバーベキューに向いているのか?」
「鋳物製品はアウトドアに向いているのか?」
「シーズニングって、どういった状態のことを指しているのか?」
「ユーザーが欲しい鉄板、あったらいいなと思える鉄板とはどんなもの・・・?」

実際いろいろな企業が鋳物の良さをアピールしています。一般的な特徴は次のようなものがあげられます。

  • 熱伝導率が髙い
  • 蓄熱能力が高い
  • 買い換えの必要がなく一生使うことができる
  • 鉄分が摂取できる

など、肉をおいしく、丈夫なことが鋳物の特徴です。でもそれだけではソロ鉄板ユーザーは納得できないと私は考えました。

①さらに焦げ付きにくい鉄板」「②肉がおいしく焼ける鉄板」「③シーズニングが剥がれない鉄板」「④ごしごし洗える清潔に保てる鉄板」。そして「⑤厚みを選べる鉄板」です。

この6つの課題を満たした製品が「ニクイタ ソロ」です。

ニクイタソロの最大の特徴は「特殊な縞模様」です。

社員や知人の不満を解消したのは、焼き面の表面に施された「縞模様」でした。

  1. 縞模様の凹凸で通常の鋳物製品よりさらに食材とひっつきにくくなる
  2. 特殊な加工により表面にカーボンを露出させ、熱伝導率アップ&炭火のように肉がおいしく焼ける
  3. 縞模様の凹凸とカーボンで油を密着し、シーズニングがはがれにくい
  4. 縞模様の凹凸により中性洗剤で洗っても問題なく、金タワシや金属ヘラでも黒色皮膜をはがさない
  5. 好み・用途に合わせて板の厚みを設定できる

これらの特徴を有する製品のため、正規品には「鋳人」の刻印を入れてお客様にお届けします。

では、上の①~⑥について、こだわりの理由をご説明していきましょう。

縞模様の凹凸で通常の鋳物製品よりさらに食材とひっつきにくくなる

見た目ではっきりとわかりますが、縞模様で食材との接地面積が小さくなるので焦げ付きにくくなります。普通の鋼材鉄板(黒皮鉄板)は、製造工程でロールで圧延されて作られていますので、鉄板の裏表はロールのなめらかで平坦な表面で出来上がってきます。ですから肉と鉄板の焼面はべったりくっついてしまいはがれにくく、焦げやすくなってしまいます。

 圧延のイメージイラスト(Wikipediaより引用)
では普通の鋳物製品の表面はどうでしょうか?
鋳物表面は鋳造工程上、鋳型から製品を取り出した後に砂落としのため「ブラスト処理」がされています。多くは「ショットブラスト」はと呼ばれる小さな鋼鉄の玉をぶつけたり、「サンドブラスト」といって砂を表面に当てる表面処理です。この方法は、ショット玉の直径や砂の粒度により製品表面の仕上がりが変わってきますが、多くは丸い球の直径で凹凸の具合が変わります。果物の梨のような表面になりますので黒皮鉄板よりは表面に凸凹があり、指で触るとざらざらした感触です。
【左】黒皮鉄板    【右】普通の鋳物表面
ニクイタソロは、表面に特殊な縞模様を作っておりその凹凸が黒皮鉄板や普通の鋳物表面より大きいため、食材との接地面積が小さくなり焦げ付きにくくなっているのです。
ニクイタソロの縞模様(シーズニング前)

特殊な加工により表面にカーボンを露出させ、炭素の効果で炭火のように肉がおいしく焼ける

特殊な縞模様を作る表面加工により、鋳物の素地を表面に露出させることで、熱伝導率がアップします。
理由は、鋳物の金属組織の中のカーボンの析出状態にあります。
何のこと?と聞こえてきそうですので、下のイラストを見てください。
黒皮鉄板にはほんの少ししか含まれないカーボン(炭素)が、鋳物には3~4%も含まれています。
そのカーボンは鋳物の内部で左のイラストのようにつながっています。
バラの花びらをイメージしていただけるとわかりやすいかもしれません。

カーボンは鉄に比べ一般には熱伝導率が2倍以上ある(測定方法による)とされており、繋がって存在しているので、一部を熱するとその熱を素早く伝え、鉄板全体に広がっていきます。鋳物の中のカーボンが繋がっていることが熱伝導をよくしているのです。

また、カーボン=黒鉛=炭素=炭、です。
ミクロの炭が表面に出ているわけですから、炭火のように食材の中まで火が通りやすく、おいしく焼けることに繋がっているのでは?と推測しています。

鋳物の中でもダクタイルと呼ばれる球状黒鉛鋳鉄では、カーボンが金属組織中でボール状になり独立して析出しているため、左の組織よりも熱伝導率は低くなります。

実際に弊社で比較実験を行ったところ、焦げの発生は球状黒鉛鋳鉄の方が多くなりました。肉を焼いたりする場合には片状黒鉛鋳鉄と呼ばれる普通の鋳物の材質の方がよいと私は考えています。

では普通の鋳物製品の表面はどうなっているのでしょうか?下の写真をご覧ください。

実は通常の鋳造工程で鋳物を作ると、左の写真の赤丸の部分のように、表面に「チル」と呼ばれる層ができます。これは常温の鋳型(主に砂を固めて作る)に1500℃前後の溶けた鉄(溶湯と呼ぶ)を流し込んで作るために急冷されて析出する、鉄と炭素の化合物です。

この化合物はセメンタイトと呼ばれていて、鉄でも炭素でもない非常に硬い化合物なので、鋳物製品としてできるだけこの層を薄くすることが課題となっています。
しかし、この層をなくすことは難しく必ず発生してしまいますので、表面には熱伝導率の高い炭素が出てくることができないのです。

熱を伝わりやすくする、という点においてこのチル層をなくす表面加工をしているのが、ニクイタソロです。

縞模様の凹凸とカーボンで油を密着し、シーズニングがはがれにくい

表面の特殊な縞模様は、シーズニングによる黒色被膜(ブラックポット)をはがれにくくする役割をしています。
今のところ、シーズニングによる黒い皮膜は油が熱により重合してつながることにより、鉄の表面を覆う事で成形されると聞いています。
とすると、その皮膜をはがれにくくすることが、美しい鉄板の姿を維持することになります。

どのようにはがれにくくしているかというと、下の写真でご説明しましょう。
ニクイタソロと黒皮鉄板の表面を金属顕微鏡で撮影してみました(シーズニング後の写真です)

【左】ニクイタソロ表面  【右】黒皮鉄板(市販品)表面
右側が黒皮鉄板の表面の顕微鏡写真です。表面に模様がほとんどないことがわかると思います。表面の黒い部分がシーズニングした際の表面の油分の跡です。板の上に乗っかっているだけという感じですね。
左側がニクイタソロの表面写真です。黒い部分がシーズニングの油分です。縞模様の表面加工により鋳物の金属組織がむき出しの状態なので、斜めに入った縞模様と金属組織の絡み合った網目状の焼面が形成されていることに加え、多孔質のカーボン(炭素)がむき出しになることで、黒食皮膜をがっちりつかんで離さない組織となり、シーズニング皮膜を保持しています。

この表面の違いが、ニクイタソロのはがれにくいシーズニング皮膜を作っている理由です。

縞模様の凹凸が中性洗剤で洗っても問題なく、金タワシや金属ヘラでも黒色皮膜をはがさない

鉄板を使用後にはきれいに洗って片づけたいですよね?
でもソロ鉄板のほとんどは、普通に洗ってしまうとシーズニング皮膜が取れてしまい、せっかく成長させた皮膜をはがしてしまうという事でNGなんですね。
でも、ニクイタソロならばそのような気遣いは少なくなります。皮膜の剥がれはゼロにはなりませんが。

その秘密は、また特殊な縞模様です。
今度は金属顕微鏡でニクイタソロの断面を観察します。
左が顕微鏡で組織を見るために撮影したもので、右の写真は焼面の凹凸をわかりやすく見るために撮影した写真です。
右の写真を見るとわかりやすいのですが、ニクイタソロの焼面は不規則に鋭い凹凸があるのがわかります。
そのため、金属ヘラや金タワシで表面をこすっても、断面の「山」になっている部分にだけ当たり、油の皮膜に点や線で接するだけとなりりシーズニング皮膜ははがれにくくなっているのです。このような縞模様という物理的な理由により、シーズニング皮膜は大半が守られるのです。
また洗剤で洗っても大丈夫なのは、金属組織とカーボンで皮膜がくっついていることは前項で述べたとおりです。
ソロ鉄板をすでに使用している方は、左の写真のようにソロ鉄板を洗剤とタワシでごしごし洗う事はない、と聞いていますが、敢えてきれいに洗ってみました。

黒色被膜を成長させることもでき、清潔に保つこともできます。
下の写真で表面を比較していただけます。

光の違いで黒さは違っていますが、見ていただきたいのは黒皮鉄板の角の部分です。
黒色被膜が剥がれてしまっています。せっかく成長させたのにと思うかもしれませんが、それぐらい鉄板との密着性が低いということです。
【左】ニクイタソロ 洗剤+金タワシ洗浄後  【右】黒皮鉄板 洗剤+金タワシ洗浄後(右下のみ)

好み・用途に合わせて板の厚みを設定できます

ニクイタソロは鋳造&特殊な製法で作られるため、用途やお好みによって厚みは自由に変えることができます。
市販のソロ鉄板は、JIS規格で決められた厚みでできた鉄板をカットして作られていますので、3.2mm、4.5mm、6mm、9mmと厚みは一定です。
弊社は鋳物工場ですので、厚みに制約はありません。どのような厚みにでも対応できます(限度はあります・・・)

お客様の用途は様々で、ソロ鉄板に限ればあまり大きなものや分厚いものは必要ありませんが、業務用や特殊用途でも対応できますのでご相談いただければ幸いです。
お役に立てると思います。

以上が、いものびとの「ニクイタソロ開発のこだわり」です。このこだわりを特許庁に申請し、実用新案・意匠登録をしていただくことができました。

鋳物でしか作れない&新発想の特殊な製法の「究極」のソロ鉄板「ニクイタソロ」。みなさまのキャンプのお供に少しでもお役に立てると嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。