浅井鋳造所で製造する鋳物は「鋳鉄」と一般的に呼ばれています。

鉄を溶かして流し込むので当然といえば当然です。

では鋳鋼とは何を指しているのでしょうか?

鋳鋼は「鋼を溶かして流し込む」ことによってできる鋳物です。

「鋼(はがね)」は一般的にH鋼などの建材にも使われる、炭素含有量の低い「鉄」です。およそ炭素量が0.2%から0.6%ぐらいの鉄ですが鋼材と比べると少し高い値です。一般の鋼材のように溶接可能ですし、普通に曲げることもできます。

またマンガン(Mn)やCr(クロム)などを追加して、強く硬い材質の特殊鋼系の低合金鋳鋼にすることも可能です。

浅井鋳造所では主に小型の高周波誘導炉を用いて、鋼のスクラップを溶解し成分検査・調整して鋳造しています。

鋳鋼用誘導炉による溶解

ただし鋳鋼は炭素量・ケイ素量が低いので、溶湯(溶けた鉄のことを指します)の流動性が悪く非常に作りにくい材質になります。鋳造不良が多発しますが、溶接で補修可能なので腕の良い溶接工が社員にいるのでとても助かります。

その点でいくと鋳鉄は炭素が3%以上、ケイ素も1.5%以上は含まれるので、水のように流れやすい溶湯になっています。ですので複雑な形状でも製造可能であり、広く産業機械や家庭用品に利用されていますが、溶接での補修はほぼできない材質です。

では次にステンレス鋳物についてお話ししましょう。

ステンレスはご存じの通り「さびにくい」鉄です。一般的にはニッケル(Ni)8%以上、クロム(Cr)18%以上の鉄合金になります。鉄が70%以上はあるので、そのまま使用すれば錆びます。適切な熱処理をすることでさびにくい鉄へと変化します。

浅井鋳造所では厳選されたSUS304のスクラップを溶解し、成分測定・調整をして鋳造しています。ステンレス合金も鋳鋼と同様に流れにくい溶湯ですので鋳鉄と比較するとかなり不良品が発生してしまいますが、ステンレス溶接棒で補修して出荷できるようにしています。

鋳鋼やステンレス合金の鋳造を行う工場は限られていて、鋳造方案などのノウハウもなかなか情報がありません。試行錯誤しながら経験を積み日々取り組んでいます。